A DOG DAY/
阿ト理恵
てみたところで、かばんのなかには、ひからびた笑いのくずばかり。未完成の毛糸のふくろには、うまれたての笑いを押しこんで、ふゆかけらをふるいおとすつもり。電話をかけるリスが電線をかけるみたいにね。F鉛筆で〈わ〉から〈ね〉へ、くるりんちょ。って書いてね。ねっ、ねっ、って、くるりんちょ。ねっ、しっぽもくるりん。たまにはね、今日は犬だからって、
初出2015・1・27静岡新聞投稿欄:選者/野村喜和夫氏
戻る
編
削
Point
(12)