或る老人の話。/桜 葉一
 
3年前に50年間連れ添った愛する妻を亡くしていた。
雪の振る寒い冬の日だった。
老人は「ユキ」がその生まれ変わりだと思っていた。
では、この子は誰の生まれ変わりだろうか……?
老人はその子犬に自分の名前から「コマル」と名づけた。

5年後、老人はひっそりと息を引き取った。

その公園に行けば、
今でも老人とその妻「ユキ」に出会うことができる。
そこは2人が出会った場所で……。
いつまでも笑顔の絶やさない2人の姿を……。

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