I/黒ヱ
 
風が廻り溜まっていく
この憂の温度を さらいはせずに撫でて

今は 歌えているよ
どこまでも広いこの海が 覆いかぶさる様
風に乗り 奏でる あなたにも聞こえそうな気がして

手を振っている
これは あなたとわたし ふたりを一番繋いでいた鎖
凍てつきそうな冬の 空と風

「ごめんなさい」

強く言って 強く想う
わたしの全てが また あなたを恋しく思う頃
寄り添うもの

大きく 高く 飛んでいく
ひとりで眠れない夜の 口ずさむ ふたりのための歌
ここから さらに

「ごめんなさい」

無くせないのなら 愛そうと思った
そばにいるから 見つめている

風が吹く
渡す重きは 大切な新しい種
残すもの 伝えるもの 譲れない愛しさ 

あなたと わたし

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