惨敗/浩一
 
日本語の檻の中でもがいているのは
あれはいわゆる詩人です
なんとかして檻を破って
脱出しようとしているのです

けれども彼は知っているのです
あれやこれやの手練手管を使っても
すかしてみても ふかしてみても
けっして檻が破れないということを

けれども今夜も彼は白紙に向かい
性懲りもなく言葉をいじりたおします
けっして勝てない勝負に挑みかかります

そして結局いつものように惨敗に終り
その惨敗の哀れでみじめな痕跡が いわゆる詩
ということになるのです
戻る   Point(3)