鞄/為平 澪
 
女の人の持っている鞄が気になってしょうがなかった 
遠くへ行けば行くほど 鞄を欲しがる様になっていった 
ピンクのショルダー  
黒のハードな合成革に金の鎖のアクセントの物 
軽量ダウン地のブラウンのトートバッグに 
ストライプは青と白のマリンバッグ 
アフタヌーンティーのドッド柄のエコバッグに 
果てにはレジャーを模したトレンドリュック 
彼女たちを彩る 鞄が気になって仕方がない 
ひと夏で 切り捨てられる物もあれば 
擦り切れたり千切れたりするまで使う 
一生物の 鞄もあっただろう 
大切に使われたと 静かに自分の役目を終えることの尊さを 
味わえる鞄が ショーウ
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