チョコレートにとって基本的なこと/カワグチタケシ
 
カオを積んで碇泊している南米の港町
ママはいつからマフラーをしなくなったんだろう?

星を巡るバックパッカーの冷えた手を
握ったときの指の温度
すこし眠たい僕の手であたためて
その熱で星を溶かしてしまいたい
そして、夜に溶けてしまいたい
濡れない場所から雨を見ていた
日々が遠ざかる


3.
君は小鳥
僕は一粒の大麦
ついばまれ
君の内側を通過し
夜のどこかに
ぽとりと落ちる

その音を逃さないように

僕をさがして

君をみつける


4.
そして洗いたての古いタオルのように
すこしざらついた陽がのぼり
あたらしい一日がすこやかに目をさます
いずれ廃墟となり、瓦礫となるこの都市が
あたらしい一日をむかえる
まず東の海から運河の方角へ
そして街路を巡り、海峡を越えて、君の暮す部屋に
あたらしい一日がおとずれる
あかるい朝だ!


Contains samples from S.Ito, E.Dowson & Y.Tanabe

 

戻る   Point(2)