街の風景/ヒヤシンス
地元の功労者を人々はヤクザと呼ぶのだが。
朝はその濃度と透明度で明けてゆく。
目の下にクマをつくった派手なガウンの女達は憂いに満ちている。
脇道でタクシーを拾うと、おもむろに乗り込んで馴染みの運転手に目配せをする。
静かなエンジン音をたててタクシーが脇道からメインストリートへ去ってゆく。
日が昇る。
この街の横顔を今日一番の美しさで精一杯照らす。
ストリートに人や車が増えてくる。
一つの魅力的な時間が終わった。
夜勤明けのホテルを出るとそこは今日が始まっていた。
人もまばらな商店街を抜けて明け方の中華街へ向かう。
そこにはまだ魅力的な時間が流れている。
その後は海を見に行く。癒しのサイクル。眠くはないのだ。
貨物船が往き交う港でおもむろに煙草に火を付ける。
手にした缶コーヒーが心と体を温める。
これが私のブルー・イン・グリーンだ。
今、世界は私を中心に回っている。
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