街の風景/ヒヤシンス
ガラスの葉っぱに滴る雨水が甘い匂いを放っている。
この街の横顔が、夜明け前の薄青い静寂に包まれている。
店を閉めたジャズバーの管理人が、暗い色のコートを着込み、
メインストリートの奥へと消えてゆく。
昨夜の雨がこの煤けた街をほんの少しだけ輝かせている。
看板の電飾が切れた寂れたホテルから、互いが互いの存在価値を
見出そうとしているかのようなアベックがチェックアウトする。
純粋な彼や彼女が未だ夢の中をさまよっているうちに。
太陽は未だ昇らず、青い空の濃度は増してゆく。
道端に座り込んだダンボールの住人は、今日という日に
想定外の金が手に入る事をまだ知らない。
地元
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