重星のこすれる音/
阿ト理恵
夜更けのキッチンの窓辺に置いてあるクロッカスの白いふさふさな根っこが揺れた
ボイルしていたエビが跳ねた
ハードボイルドな銃声に
星もわたしもたじろがない
それはフィクション
だだのフィクション
死体はすぐに起きあがる
めくりあがる字体
ふらちなプラチナは
むしろ
むろん
しびれる音さまよえる器
停止
て、いし
非常口の緑の人と逃げる人をわたしは知らない
それでも、すき
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