埋めるために1.10/竜門勇気
粒は僕を通り抜けて
半身を土に隠した彼の身に降る
不穏で、あんまりに静かで
あんまりに普通の日すぎて
冗談みたいで笑えてくる
肩が揺れて腹が痙攣して
あんまりにも普通の日すぎて
せめて太陽のある日に
せめて春がくるまで
せめて彼が嫌いになるくらい
それだけの時間さえあれば
フードを叩く雨の音はしない
見る間に隠される彼の体にだけ
雨は降り続ける
かつて彼の寝床だった場所に かつて彼のものだった毛布でくるまった彼が笑っている
かつて彼が好きだった出窓に いつもそこから外を見ていた 彼が出窓に
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