夜の信号/服部 剛
 
夜の人気無い交差点で
暗闇の赤信号の中
ひかりの人が立っている。

ゆるぎない姿勢で
こちらに何か、云いたげな
未知の国から訪れた旅人のように。

かれは
赤い世界に包まれた
情熱の使者

信号の中から、こちらへ
とこ…とこ…闇を歩み出し

白い梯子の横断歩道を、渡ろうと
息を呑み
明日を待つ――この胸に
不思議な足音が、入っていった  






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