In Retrospect/
凍月
冬の冷気が
身体に刺さり、抜けてゆく
雪の一片が
銀木犀の花弁に見えて
淡雪の香りが心を満たした
視界の端で誰かが動く
誰もいない
ただの錯覚
既視感
また君じゃなかった
次の曲に切り替わる時
目眩が追憶を引き起こす
隣にいた君を思い出す
あの寒さが現在と重なる
銀木犀の一片が落ちてきた
あの曲を聴いて思い出した
風景が脳裏に現れて消えて
あの日の月に思いを馳せた
あの日、君の手は冷たかった
追憶の中で
初めて知った
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