『サフランの髪飾り』/座一
ぐらいの乗客は、その風に耐えられず、わらや花々、海の水になって 『もう、帰れ』 といさめる風に、運ばれていった。
でも最初にキャンディーを買ってなめた人は、残っていた。マリークロッカスも、栗の木坂の先生の言いつけを守っていたので、何ともなかった。
皆気付きだし、キャンディーを買い占めたイナフを、殺してまでも奪い取ろうと必死になる。
でもイナフはキャンディーを歯でカチカチと鳴らしながら、警告音を発していて、誰も近づけなかった。
それよりもイナフは外に焦がれて車窓から、目線の先の流れる風景に、イナフの涙はこぼれて行き、それを受け取る自然たちは、発光して喜んでいた。イナフは芯からその自然を慈しみ
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