100/イシダユーリ
そこに
うつっている
まだ息が聞こえる
美しい
それは
胸をえぐる
生きている
という事実
それは
物理的な
穴と塊
まだ息が聞こえる
きみの顔に
土くれを
べったりと
塗る
遠くで
煙があがっている
あの
煙を
すこしずつ
吸い込めば
眠りがすこしずつ
浅くなり
もう
眠れなくなる
その頃には
きみは
夕暮れから
落ちて
産まれなければ
よかったと
言う
わたしたちも
夜には
産まれなければ
よかったと
言うんだよ
けれど
夕暮れは
言葉を
習っていない
そして
きみは
明日へと
足を
踏みはずすこともできる
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