あいびき/ドクダミ五十号
 
人目を偲んで何事かの
欲望を満たすため
異性と会う
淫靡な配偶者ほど
恐ろしい者は無い

逢い引きではありませんで
密会と言う方が
私の観点からは正しいでしょう

賢い娘がそれとなく
暗喩として母親の行いをつげてくれた
わたしだって鈍感じゃない
言われるまでもなく知っていた

失うのが怖かった
現実は過酷だと
思い知っていたよ
だけれども
なぜか深夜まで帰らない
おかあさんの代わりに
娘を腕に抱いて
寝息を聞く時
崩壊を告げる喇叭よりも
だいじな音として伝わった
娘の息吹

熱帯低気圧に
狂った様な
枝垂れ柳に
鬼の面を重ねたら
別れ際の愛した人の
最後の面影

怯えさせてすまなかったね
愛しい娘達よ
おとうさんは望んでいなかった結末だった
そう言い訳しておきます

豚と牛合いびき肉には罪はないよな
なんて言いながら
今夜はハンバーグだ
ばかだねえ
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