ひとつぼっち/ドクダミ五十号
 
こころがひとつ
ふねにのり
あてなくひろい
みなもにぽつん

そらとみずとの
さかいなく
おもえるような
あおあおの
しずかなときも
ありました

そらとみずとが
まざりあう
げにおそろしき
こんらんの
さけびのひびも
ありました

あけてはくれて
すごすうち
ふねはあちこち
あなだらけ
みずをかいだす
ひびでした

ああもうぼくは
みずのそこ
ぷくぷくしずむ
ふねととも
ふかくてくらい
みずのそこ

あきらめかけて
おりました
ふねがしずかに
いいました
しずみそうでも
しずまない

ぼくはおふねに
たずねます
するとおふねは
いいました
ときがくるまで
しずまない

なぜかなら
ただひとすくい
するだけで
ふねとぼくとは
はざかいに
たとえばふちを
のりこえる
なみさえひいて
ゆくのです

そうしてきょうも
ぼくはおふねと
たゆたうのでございます
ひとすくい ひとすくい
もうそれしかありませんから
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