霧の時代/服部 剛
 
きみは、掴まねばならない
その手をまっすぐ、明日へのばして

耳を澄ませば――確かに聴こえる
言葉ではない、不思議な呼び声

黙したまま私達を待つ
二十一世紀の霧の向こうの、朧(おぼろ)な灯

長い間、血の気の失せていた
胸に、脈打つ音よ、蘇れ

世の中の饐(す)えた冷気に
悴(かじか)んでいた掌よ、ゆっくり開け

あの日――世で掴むべき夢の為に
きみの産声は天まで、轟(とどろ)いた  

やがて霧の幕は開かれ
刷新されるべく、この世界で  






戻る   Point(6)