桐一葉/
楽歌
掠れていくように薄まってゆく
耳もとの、さざなみを
遠くなっていく空に
必死になって捜しては見たんだけど
忘れていく方に、僕らは向かって行くだけでしかないから
ねぇ、
あの日の眩しさは、ハレーションみたいに
季節がそっと
確かに深まっていくのに
君の頬は静かに
熱を失くしてしまうようで
まだ、もう少し、だけと
握り締めた手のひらを振り払ってしまわないで
狭間で彷徨う不確かさに、
掴まえきれないままの道標
ふわり、風に飛んで
桐一葉
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