同じ穴/中山 マキ
器用に生きられないだけの個性は
誰にとっての褒め言葉でもなくて
容赦のない人種には一粒の反撃にもならない
何も聞かなければ、何も傷つかない訳でもなく
耳を塞いで、聞こえなくても
どうせわたしは傷つくのだろうと思う
土足で踏みにじられる気持ちは
自己治癒能力に欠け
化膿し、壊死する
人間は一人で生まれ一人で死ぬ
気付かぬほど短い過程の中で
戸惑い、熱を帯び、期待をする
ただその物事にでさえ
根底を知ればそこに自由はなく
それは自由ではない
溢れてしまったわたしたちが
この世界を複雑化して
カラクリに縛られて行く
多かれ少なかれ僅かな恨みで
昨日の誰かを許していない
負の連鎖に関与して
土足で踏みにじって蹴飛ばして
唾を吐いている
大事なものにさえ
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