カルマン(ごう)/Giton
 

はるかな記憶は洩れ来ることもなく
きみのカルマンにぼくは身をひたし
永い永い歳月きみがそだてつづけたこの渦に羅(うすぎぬ)の匂いを求め
瘴気のうちにこうべを垂れ
ぼくはただ融けゆくことのみを願う
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押せばひらかれる扉のように
けっして拒むことのなかったきみに
押せばいつでもひらかれて
願わなければ離れてゆくだけの
きみのカルマンはうずたかく積み
ぼくは遠ざかっていた歳月をおもい
扉は白く光りつづけ
訪れる者なければ雲は何層にも積み
カルパの先のカルパのその果てで
きみはいつか訪れるものを待ちつづけている
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(注)1カルパ=43億2000万年
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