夜道で猫に会う/Lucy
荒んだ気分に吹かれているのも
快速電車の乗り心地です
時に青白い猫が追い越して行くのも新鮮
手放しで夜道を直進するも悪くない
見通しは甘くありません
集会に行くのだとばかり思っていたら
対岸の私に見向きもせず
やおら歩道に腰をおろし
バレリーナのようなポーズで
優雅に顎を掻いている
私はみーちゃんと呼びたくなります
どんな猫も
その夜初対面のみーちゃんは
白地に黒のほっかぶり
けして美人とは言えないけれど
結構な時間
私と並んで歩いたのです
ひっきりなしに光が交差する川を挟んで
みーちゃん
と声に出して呼ぶと
おととし死んだ猫が
瞬時に膨張し夜空を覆う
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