望み/草野春心
 


  せめて、
  あなたには桃を食べていてほしい
  朝のかなしい光のなか 窓のあたりに椅子を置いて



  それ以外なにも望まない
  古い歌があなたの心に絶えず降ってくる
  潮風のにおいをいつまでもあなたは覚えている
  だからわたしはなにも望まない それ以外は



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