カーテンコール/凍月
 


夜の帳が下りると
夜の幕が上がる
汚れたコンクリートで形を為す
ビル群は薄れて消えて
夜の開演
舞台は暗転
その存在さえ確かでない
小さな秘密を
夜はそっと抱く
昼の世界は微かな輪郭と
ぼやけた陰だけになり
灯る光の役者が
次々と壇上に踊り出る時
瞬く星の拍手に包まれる
夜の劇場

対して
昼は物事が見え過ぎる
見たくないものが
嫌いなものが
醜い感情
目眩
昼の激情
汚れた世界が
街の喧騒が聞こえ
知りたくなかった事が
入ってくる時間
賑やかで楽しげな
だけど僕には合わない世界が
どうしたって見えてしまうから
自分が独りきりって
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