金木犀の夢/
瑞海
金木犀
私好きなんです
少し香るぐらいが
香りすぎると
体を蝕んでいくようで
クラクラします
あの日
道で立っていたときも
こんな匂いが
あなたの首筋から香って
火照って 倒れそうだった
のを思い出しました
掌で掬っても
戻ってこない
名前の通り
水のような人ですね
笑った顔も
少し高めの声も
全て匂いが
掻き消すようにしてしまって
手でかき分けても 分けても
思い出せなくて
お腹が痛くて
鼻から脳に突き刺す記憶
少しため息出てしまう
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