ぼくの優しい友人/浩一
 
ぼくの優しい友人は
お前の考え方にはバイアスがかかっている!
と言って突然怒った
バイアスのかかってない奴なんていやしない!
と言い返してぼくも怒った
多かれ少なかれみんなそうなんだ!

日曜の午後の
なかば定例化した我が家での二人だけの座談会

ぼくから見ると
彼はずいぶん左に傾いているように見えた
彼から見ると
ぼくはとても右に傾いているように見えたのだろう

けれどぼくは
右でも左でもないつもりでいた
第一 天下国家を語るような柄じゃない
だけどぼくは
優しい彼のこころにつけ込んで
多額の借金をむしり取るような柄だった

なさけない柄だった
けれ
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