千年杉の猫月夜-9/21/りゅうのあくび
真夜中を過ぎて
潮騒が近くで鳴る
砂浜で水夫たちは
休んでいました
座礁した帆船からは
食料を運び出すために
彼らは夜を徹して
運搬を交代でしながら
海では嵐が来たけれど
水夫たちの士気は高い
羅針盤での計測から
漂着した島が海図にない
島であることがわかり
準備を整えていました
黒猫は漆黒の岩陰に
尻尾も引っ込めて
水夫たちの歌声から
彼らは言葉を持つこと
焚き火の灯かりから
火を扱う知識を持つことを
確かめていました
今夜の霧だけは
とても深く
月光と焚火だけが
妖しく耀いて
ふくろうが鳴いている
鮭の美味しそうな
匂いが海風とともに
漂っていて
もう我慢ができない
猫たちは次から次へと
香ばしい鮭の丸焼きへ
飛びかかっていきました
結構毛だらけ
猫灰だらけ
驚いた水夫に増援がきて
猫たちは一網打尽になり
慎重な黒猫たちを残して
捕まえられてしまいました
霧の月明かりのしたで
千年杉へと
帰還した黒猫たちは
僅か数少ない
仲間だけでした
[グループ]
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