平和のつくりかた(だーれも知らないシリーズ1)/森川美咲
だーれも知らない
あるところに
いつも大真面目なんだが
ちょっと空気が読めなくて
頑固でお節介で口うるさくて
嫌われ者の爺さんがいた
村人たちは集まっては
ひそひそと爺さんのことを噂した
何とかならないものかねえ
私はもう耐えられないよ
しかし爺さんは
罪を犯したわけではない
罰することも
追い出すこともできなかった
村人たちもまた
善人でありたかったのだ
村人たちは考えに考えて
ある若者を選んだ
彼も少々空気が読めず
能天気で無鉄砲で
爺さんのことを
嫌いも恐れもしなかった
若者は村人たちに頼まれて
爺さんの家を訪ね
酒を飲み語
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