墓参/MOJO
 
 街路樹の枝先が芽吹いて淡いみどり色が眼に清々しい。そんなある春の日のことである。
 太一が運転する青いヴィッツは、ウィークデイの東名高速を西に向かって快調に走っていた。途中、海老名のサービスエリアで休憩し、御殿場インターから一般道に下り、国道二四六号線の交差点を右折した。太一の隣には叔母のめぐみ、後ろの席にはめぐみの妹の洋子が座っている。
 彼女たちは女ばかりの四人姉妹であるが、一人は十年前に他界した。それが太一の母親で、彼女たちにとっては長姉のえい子である。
 ヴィッツは目印のセブンイレブンがある交差点まで来た。ここを左折し、田舎道をすこし走れば、目的地である公園墓地まではあとわずかだ。
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