墓参/MOJO
 
願いだから行ってきてよ」
「叔母ちゃん、陰陽師とか言って、最近教会にも行ってないらしいじゃん」
「教会に行かないのはあんたもいっしょでしょ」
「それはそうだけどね」
 人は、死ねば燃えて灰と化して、それっきりである。天国だの彼岸だのというものは、太古の為政者が、民草を統治するために執った施策の名残でしかない。
 酒に酔ったときなど、太一はそう言って憚らないが、その陰陽師の霊言も、なんだか不気味である。矛盾しているが、それが人間というものだ。それ以上考えるのはやめにして、太一は、真澄の姉であるめぐみと洋子に電話をかけた。そして、不憫な真澄のささやかな願いをかなえようと相談を持ちかけたのであ
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