9月の朝に/Lucy
9月の朝には
怒りの帆を揚げた船が行く
9月の夜空には
羽ばたきをやめない鳥たちが
どこまでも転げ落ちていく
お前は赤いサンダルで
落ち葉を何枚踏み躙ったか
9月の朝に
僕は卑怯な亡霊のように
いつまで立っているだろう
僕の試みは
誰にも気付かれることなく
成就されなければならない
僕なんていなかったのと同じになること
それでいて 僕のいる前と
いなくなった後とでは
明らかに何かが違うだろう
風化に耐えうる言葉が
僕にあるのだとすれば
僕は本当の理解者を
1人勝ち得ることよりも
周り中すべての人の
善き話し相手であることの方を望む
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