猫 【詩サークル 群青 八月のお題「猫」から】/そらの珊瑚
 
やわらかな鉛筆の芯で
ここにはいない君を
スケッチしました
身体をおおう毛は
鉛筆を少しねかせてふんわりと
ひげは鉛筆を立てながら
細い針金のように
それは君の
生きることにまっすぐだった意思のようです

君の命がなくなっても
鉛筆と紙さえあれば
君に逢うことが出来ます

庭の紫陽花が
今年はなぜか返り咲きました
秋というものの優しさに
――濃淡のあわいがまじりあう
よりそうような
淡い薄緑色の花は
ちぎれてゆく
仔猫のようなあの雲からも
見えていることでしょう
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