白夜の砂漠/凍月
 


夜の砂漠に
小型機が墜落した
焔が吹き出す
黄金の砂が焦げて
一陣の風が吹く
機体は分解され
眩い粒子となり消える
砂と部品を赤く塗る血液
操縦士は
幸せそうに死んでいた
爆発
焼け落ちる機体を棺に
操縦士は火葬される
白い灰も
金属も何もかも
いつしか砂漠に飲まれて消えた
だからみんなに墜ちてくる
ぼんやりとした空から
砂漠になる為に
死んだ後風化して
金属も肉体も心も何もかも
粉々になって風化して消えて
美しく死ねるから
砂漠の一部になれるから
終焉の砂漠に夜がくる
輝く月が静謐を照らす
粉になった機械の光沢で
雪より煌めく光景は
まるで
白夜の砂漠





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