かげろう/
 
夜をまとい ひとつ
また ひとつ
陽を仰いでは
あなたの声を 響かせる

厳かに切り離されていく 大きなかげろう
ゆらりと揺れては 温もりを浮かべて

 覚えていますか
 先の夏には共に歩き
 食事をしては笑い
 つかの間の団欒を
 フィルムのカメラで
 撮っていたことを

 ネガさえないままに
 カメラはどこかに眠り
 あなたの窓越しの
 わたしの笑みは
 ひっそりと永遠の
 行方知らずの旅に出た

昼をまとい ひとつ
また ひとつ
流れ星を見送り
あなたたちの面影を 探している


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