軋る哀しみ/
凍月
た体内から哀しみの冷水が溢れ
一輪の薔薇を咲かせたが
薔薇は一瞬にして凍り
震える指先で触れると
音もなく砕けた
ああ
哀しさで崩れ落ちるような時に
音はしないのか
誰にも気付かれず
何も残さず
ただ哀しみに圧し潰されて壊れるのか
何故哀しいのかはもう忘れたのに
未だに廊下は軋んでいた
部屋に戻りベッドに沈み
纏わりつく冷気に悶えると
ベッドが軋んだ 骨が軋んだ
脳内で
氷の悲鳴と薔薇の崩壊が重なり
哀しみが軋む音を聴いた
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