軋る哀しみ/凍月
夜も寝静まった
時計の針の音が創る時間に
黒い廊下を歩くと
身体の重みで床が軋む
軋む
軋む
廊下全体が
さらには世界全てが軋んでいるようだ
哀しい
哀しみは重い
重く冷たい
今の僕は哀しみで出来た泥人形
歩く度
軋む床に滲む感情
それでも尚、尽きぬ哀しみ
冷蔵庫を開け
冷気を感じる
感じる?
今の僕の方が冷たいさ
コップに水を入れて飲む
気色の悪い温さだった
僕と温度が違い過ぎる
水に氷を5つほど入れる
沈んだ氷が悲鳴のように軋み
ひび割れて冷たくなった
体内にそれを流し込む
染み渡る
二番目に冷たい感情は哀しみ
飽和した体
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