MW/opus
僕は珈琲を
彼女はココアを飲んでいた
彼女は頬を紅潮させ
湖に溶ける雪を眺めていた
その10分前
僕はプロポーズをした
最初の子供が生まれた時、
僕は営業で回っていた
連絡が届いた時も
その場をすぐには離れることが出来なかった
知らず知らずのうちに握っていた
掌には汗が滲んでいた
途中で、行ってこい
と先輩に言われ
駆け出した
病院に着き、
汗を拭いながら
病室を開け、
嫁の安堵した表情を見た途端、
僕は号泣した
やがて、
子供たちは大きくなり、
社会人として成長し、
家を離れて行った
今では
孫も生まれ、
僕らは立派な好々爺となった
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