地下鉄のホーム/凍月
寝過ごして起きた車内
まだ回転数の低い頭が
知らない駅名を朧気に聴いて
薄暗いホームに飛び降りた
誰もいない地下鉄のホーム
走り去った電車は
暗い暗いトンネルに吸い込まれて消えた
伽藍堂のホームに一人だけ
電光掲示板も時刻表も
駅名すらも見当たらないホーム
電灯の呻きだけが聞こえる静寂
錆びたベンチに座る一人
線路と線路を区切る
連続したコンクリートの柱
反対側にも誰もいない空虚
人の気配を感じて右を振り向く
人影が見えた
いつの間にそこにいたのか
左にももう一人
しかし彼らは幽霊のように
人形のように
実体の無いような雰囲気で
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