ぶっつけ未詩 8 (煮たヨルナ)/Giton
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小学校に上がったころだろうか、もうちょっと前だろうか‥
家の近くのターミナルにあった工場の塀に、この文字が平仮名で大きく書かれていたのだ:
にたよるな
ぼくはそこを通るたび、おぞましい想像に恐怖をいだいたものだ
よるな とは、何なのか?
煮られてしまうのか‥?
もちろん、ぼくはその よるな という恐ろしい生き物について その土色のぶあつい壁の向こうで日々煮られている悲惨な動物たちについて、あらゆる大人に問いただしたものだ
母にも兄にも叔父にも祖母にも‥ ありとあらゆる身近な人に、ぼくは懸命に何度も質問した
しかし、大人たちはただ笑って、ぼくの理
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