遍在する顔 /
服部 剛
或るロシア画家の
画集をぱらぱら、捲っていたら
苦悩する女の肖像画に
薄っすら滲む
イエスの顔があらわれた
神や仏はいつも隠れている
画家の描く、キャンバスに
彫刻家のほる、木の内に
今、僕が書いている
この詩の余白や
机の木目や
窓外に鳴く鈴虫の叢(くさむら)にも
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