たそがれフリスビー/Seia
ら、手に持っている、持って、いる、ああ、わたしなにも持っていなかった。おいてきてしまった。
女の子が
とおりすぎる
わたしのうしろを
たつたつと
ふりかえっても
わたしのことなどみえないようで
ちいさくなっていく
髪を、肩を、濡らしながら
まばらになった
雲の隙間から
砂利の味がする
耳の奥にこびりついているのは
クリスピーな生地が壊れる音でした
ざく
ざくざく
たそがれは
思っていたよりうすく
はじっこの方を
さわると
指が
簡単に切れそうで
こわいくらいに
さみしさも
てごたえのなさも
こどくも
おそろしさも
ぜんぶ
ぜんぶのせて
とんでいってしまえ
フリスビーの行方は
誰も知らない
投げたそばから
とぷんと暮れた空に
まぎれてしまったから
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