未明、みえないまま/渡邉建志
いい匂いのするものと
温かいものを少しずつくっつけたりして
昏鐘が呪文のように聞こえるから
きっとうまくいく
夜だって出し抜けるよ
}
そういわれたら、そうだよね、きっとうまくいくし、夜だって出し抜けないわけないよ、とやっぱりおもうし、そう思わない手はやっぱりないと思う。すごく、距離が近い。この言葉がはかれる口と、読む私の耳との。かつて、詩人の距離はもうすこし遠い感じがした、あるいはかなり。こんなに近い場所に、抵抗もなく、来てくれるとは思ってなかった。近い場所でものが言われるとき、それが気取っていたり、わざわざ口調を作っていたりすると、なんだか「詩気取りやがって!」って思うのが世の常
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