未明、みえないまま/渡邉建志
 
ばれて、運ばれていった先に、ほおり投げられた花火がある。これだけ「だ」、「だ」と言っておいて、最後に「花火だ」と言わないで。ほおり投げられたままで、夢のような次の聯は過ぎていき、最後の「歌うように朽ちるのか」まで、遮られた花火の轟音の、あるいは小さな響きの、なかで。「ばんざい」の声から、精巧な骨のなる音まで。


「たおやか着地」
http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=199362
なんというやわらかい着地なんだろう。すべての文が溶け合って、薄明のなかで、一つの温度で。たとえば文は冷たく過去形に終わることがなくて事実が冷たく提出されないし、形容詞が主
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