残り香/瑞海
もうすぐ終わる
夏が終わる
君が終わる
僕も終わる
何もない田舎に
色がついたのは
君がここに来た
丁度1ヶ月半前
緑の中に映える白
眩しすぎて
見えやしないけど
確かに奪われた
きっと街の子だ
華奢で色白で
消えそうで
消えない
いつも河原で
風に当たるのを
よく見かける
絵になる
絵を描いたことはないけれど
挨拶回りに来た君の
手首を見て
街なんか物騒なところに
行かせてたまるかと
決心しようとしたけれど
なんだかモヤモヤするから止めた
鼻に残る香りは
なんとも表し難いけれど
君にはぴったりだと思う
次来るのは冬かな
来年の夏?
いやもう2度と来ないかもしれない
そうすると僕の周りは
また色が亡くなってしまう
君の住む街は
窮屈でしょうか
消えない君が
消えてませんか
あなたがいるという
その証、香りが
残っているのは
ここだけでしょう
だから だから
もう一度
今度は笑わさせてみよう
これはしかと心に刻んだ
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