笛を吹くひと /
服部 剛
公園広場の人だかりに囲まれて
学ラン姿の少年は、笛を吹く。
指をぴろぴろ躍らせて
黒い瞳は魚(うお)のよう。
楽しいメロディ奏でつつ
耳はだんぼに開いてる。
身も心も空っぽにして。
音楽の神様が背後で振っている
あの透明の指揮棒が
風を、切る
たまたま遠くから聴こえた、君の音(ね)に
足を止めた大人の僕も、日々の動作で
魚の目になり
(無心の時)を泳ぎたい
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