肉の孔/あおい満月
 

爪の伸びた人差し指で
ぐりぐり
肉の孔を掘る
肉の孔に
滴る体液をこぼす

肉のあなから
何かが生えてくる
草のような、
毛のような何か。
何かは形になって
目をもちはじめる
目は海の色に青く
こちらをみている

にやりと月を描いた
唇から覗くのは
白く鋭い牙だ。
手のひらに乗せた何かは
わたしの指を噛み、
血を肉の孔のなかに盗んでいく。

肉の孔から生まれた何かは
増殖し、次々肉に孔を作る
作られた肉の塔は
ガラス張りになり
陽をうけて雲を見送る
毛のような何かはまるくなって
真昼の月の脇の下で眠っている

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