「地縛霊BBA」/桐ヶ谷忍
たよ、そうだよ欲しかったよ。
愛する亭主の子が。
どんな子に育つだろうって、名前は男の子だったらとか女の子だったらとかもう決めてあって
亭主の先が長くはないッて若い頃から分かっていたから、ホントに欲しかったんだよ。
どうしてかねェ。
どうしてあたしたちには子が生まれなかッたんだろ。
ああでも今は、それより亭主に会いたいよ。
亭主に会って、今の気持ちをぶつけて、そうしたら生前そうしてくれたように
あたしの髪を撫でてくれて、そうだねえッてやさしく頷いてほしい。
涙で滲んだ視界に、西日の中に白い光の線が見えて、あたしゃ、おや死んじまってからも
視力が落ちるのかねって、ぼんやり
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