『鋏』/あおい満月
 
ている
終わらない
入力作業
固くなった十指が
啜り泣く

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目を霞めた月が
目を閉じた瞬間、
雨が降りだした。
傘のないこの肩を
雨は喉をならして吸っていく
ずぶ濡れになりながら
家にたどりつくと
ドアを開けるための鍵がない。
バッグを逆さにして
根こそぎ探す。
からん、と音がして
血に濡れた鋏が落ちてくる
無意識のうちに
この手は鏡のかけらと
絡み合っていた。
鋏の刃に映る唇は
乾ききってひび割れている
海に引き裂かれた
流氷になって


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