ネアンデルタール人は誰何を強制しなかった/由比良 倖
 
夢の成分が星ひとかけらに相当するとしても
幸せな豊穣には私はもう生きていないかも知れない
と私は手の沈む先の海に密告しなくてはならない
ただ生きているってことは私が海であることだから
まだしも、私はひりついた石のように生きてない半分を
生きてない太陽の側面に明け渡してるかも知れない

影が出る、私の半分はとても小さい
小さく、私をすっかり覆ってしまう
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