inside out/opus
 
路地裏から
汚い野良猫が此方を見ている
近づくと後ろ足が血だらけなことに気付く
猫は声の無い声を叫ぶ

僕はいいように解釈する
いいように判断する
いいように理解する

列車の車輪が軋む
背中の赤ん坊が泣き叫ぶ
母親が体をふって、あやす

『山河の景色
オルゴールの響き
光のベール
草原にブルーシートを引き
僕の膝で熱いミルクを
猫が飲む』

ザーと
雨が降る
窓ガラスが
僕らを糾弾する

戻る   Point(0)