神話/梅昆布茶
 
顔のない世界を
ゆっくりあるいてゆく君を
ぼくは呼び止めて
お茶に誘ったんだ

言葉が伝わらないままに恋をし
手をにぎらないままに
ベッドに誘ったんだ

きみは買い物袋をさげて
ときどきぼくのまえを横切る

袋のなかから
はじめての神話がころげおちる

ぼくたちの生活は
あまりストイックではなかった

それでもしらじらしさをもてあまして
ときどきSEXをしたんだ

ほんとうは創世記は白紙なんだ
誰もなにも描いていやしない

だからぼくは
きみのための神話を描く

顔のない
ぼくときみだけのために

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